ポッドキャストは、企業認知のネクストステップ、深い「企業理解」に最適!他の広報施策と組み合わせるポッドキャストの効果的な使い方 – STORES 株式会社

企業のオウンドポッドキャスト制作を手掛けるPitPaは、ポッドキャスト番組『オウンドポッドキャストインタビューbyPitPa』を運営しています。

こちらの番組では、企業ポッドキャスト配信者をゲストに招き、様々なポッドキャストの制作裏話を聞くことで、新しくポッドキャストで発信をしたいと思う皆様に有益な情報をお届けしています。また、PitPaブログでも、その内容を一部編集して公開してまいります。

第12回のゲストは、中小店舗向けにデジタル化支援サービスを展開する STORES 株式会社。「Just for Fun」をミッションに、こだわりや情熱、たのしみによって駆動される経済の発展を支援しています。ネットショップ開設、POSレジ、キャッシュレス決済、オンライン予約システム、アプリ開発など、お商売のデジタル化を支援する『STORES』の展開を通じて、誰もがこだわりをもっと自由に発揮できる社会を目指している会社です。

2022年4月には、ポッドキャスト番組『論より動くもの.fm』を開始。STORES のCTOである藤村氏がホストとなり、技術を中心とした様々なテーマで、社内メンバーとざっくばらんに語り合う番組です。

今回は、STORES の技術広報であり、ポッドキャスト番組の立ち上げから現在の運用まで、藤村氏と二人三脚で進められてきた加藤千穂(ニックネーム:えんじぇる)さんに、立ち上げの経緯や番組の反響についてお伺いしました。

忙しい中でも楽しく技術発信を続けられるポッドキャスト。CTO藤村氏の話術が存分に発揮された

───最初に、えんじぇるさんが STORES 内でどのような役割を担われているのか教えてください。

テクノロジー部門エンジニアリング室という部署に所属していて、技術広報を担当しています。エンジニアの採用のための広報活動全般を担っており、活動の一環としてポッドキャストも運用しています。

───技術広報の最終的な目的として、まず採用はあると思いますが、他に掲げている目標などはありますか?

私は、プログラミングの言語やOSごとに存在するコミュニティに対して、STORES という会社をアピールすることかな、と仮説としては考えています。Rubyコミュニティや、iOSのコミュニティ、Androidのコミュニティなど様々あるので、各コミュニティできちんと知ってもらい、どういうスタンスの会社なのか理解してもらうことが大事だと考えています。

STORES が技術的にどんなことをしているのか発信することで、「何か面白い」「ちょっと手伝いたい」と思ってもらい、すぐに採用・入社とはならなくても、何かしら将来に繋げていくシナリオが理想です。

───直近のトレンドとして、技術広報をはじめ、様々な分野の広報・発信に力を入れている会社が多いですよね。ポッドキャストを始めるにあたっては、何かきっかけがあったのでしょうか?

実は私は、技術広報の前は広報チームの部署で採用広報を担当していまして、弊社CTOの藤村をもっと世の中に発信していくためのプロジェクトを担当していました。活動として当初は、毎週藤村とネタ出し会のような打ち合わせをし、ネタ出し会で出てきたネタを藤村にブログで書いてもらう企画をやっていました。しかし藤村も忙しいため、なかなか書く時間がとれず、ネタ出し会で出たものの書かれないネタもたくさんあるような状況でした。

それでも藤村の発信は増やしたいので、藤村がTwitterスペースを使って、ゲストとして招いた社内メンバーと話す、という企画を3回ぐらいやったんです。Twitterスペースだけでは、聞いてくれる人はごく一部なので、文字起こしをしてブログにも載せました。結果、企画の中で藤村とゲストの社内メンバーがかなり楽しそうに話していることに気づいたんです。そこで、「もはやポッドキャストにすれば良いのでは」と思いつき、社内に伝えた結果、始めることになりました。

───ブログからTwitterスペースにまず切り替えたのは、どのような理由がありましたか。

Twitterスペースは、半分ノリで、とりあえずやってみようという感じで始めたんです。やってみたところ、想像していた以上に面白いと好評で、多くの人に聞いてもらえた感覚があったので、3回ぐらい続けました。特に、エンジニア職の方から反応をいただいた記憶があります。

───Twitterスペースからポッドキャストに切り替えられたのが、22年4月ですよね。『論より動くもの.fm』という番組名がまず面白いですが、どういった流れで決まったのでしょうか?

STORES のテクノロジー部門には、テックマニフェストとテックバリューというものがありまして、「論より動くもの」はテックバリューの一つなんです。ポッドキャストで話もしているくらい、「論より動くもの」は藤村にとって思い入れのあるバリューなので、そのまま番組名になりました。あと語感も良いので(笑)

───非常にテック領域らしさを感じる、良いネーミングですね。メインホストとなる藤村さんは、番組を始めたいと伝えたとき、どのような反応でしたか?

「全然良いよ」という感じでした。Twitterスペースをやって、やれる感覚もできていたのだと思います。ポッドキャスト自体は、社内で特別聞く人が多いといったことはなく、すごく好きな人もいれば全然聞いていない人もいます。藤村もあまり聞かないタイプだったようですが、いざ自分が話してみたところ、続けられる感覚を持てたのだと思います。ブログで書くよりも話す方が楽というのもありますし。

───藤村さんのお話はとても面白くて、まさしくポッドキャストにうってつけのホストさんだと感じるのですが、話しやすくするために何か工夫していることなどあるのでしょうか。

リラックスしてもらうために工夫していることなどは全くなくて。ただ藤村が本当に話すことが好きで、かつ知識も豊富なので、どんな方面の話題でも打ち返せる、という点が一番大きいと思います。

STORES に入社するエンジニアのほとんどが番組を聞いている!リスナーに直接声をかけられる喜びも実感

───ポッドキャストを始めて以降、具体的な効果や反響などはありましたか?

「聞いています」と言われることは多いです。また半期ごとに、視聴数や、文字起こし記事のPVといった数値と、Xに投稿されているコメントなどをまとめて、おおまかな振り返りをしています。あとは、弊社の採用のカジュアル面談を受けてくださった方に、任意でアンケートに答えてもらっています。「どこで STORES を知ったか」を問う質問の選択肢に、ポッドキャストを入れているのですが、一定数選ぶ方がいらっしゃいます。

───実際、エンジニア職の方々のうちの何割くらいが、ポッドキャストが入社に繋がったとおっしゃっているのか、肌感覚で教えていただけますか。

STORES は、社員全体で約400名、うち約3割の120人前後がエンジニアです。毎年、一定人数以上のエンジニア採用も行っています。

彼らに対し、入社直後のテクノロジー部門のオンボーディングとして、先ほどのマニフェストやバリューを説明する時間をとっているのですが、その際にかなり高い確率で「『論より動くもの.fm』聞いていました」と言われます。入社した方は、ほとんどの方が聞いている印象です。

「絶対に聞いてください」と採用の際に伝えているわけではないのですが、番組を全く知らずに入社される方は少ない気がします。先ほどの STORES の認知経路のアンケートでは、認知のきっかけになった施策順に、カンファレンス協賛、イベント、ブログ、ポッドキャストでしたね。

───採用の部分で、ポッドキャストの派生的な効果は何かありましたか?

入社された方には、オンボーディングでマニフェストとバリューを伝えていたのですが、ポッドキャストを始めてからは、すでに弊社の考え方が伝わった状態で入社してくださる方が増えた印象があります。最初からカルチャーが浸透している状態で来てくださっているイメージです。

カルチャーを伝えるという面では、ポッドキャストは他のメディアより効果的だと思います。例えばカンファレンス協賛などでは、ブースを出しても、その場ですごく深いところまで説明できるわけではないので。代わりに、カンファレンスではポッドキャストの紹介をしています。ポッドキャストは、STORES に興味を持ってくれている方と、継続的に接点を持てる場所だと思うんです。

カンファレンス協賛のブースで、すぐに「カジュアル面談お願いします」と頼むより、「ポッドキャストぜひ聞いてください」と伝えた方が、より深く STORES を知ってもらえますし、転職のタイミングで思い出してもらえるのではないかと考えています。実際、再生数のグラフを見ても、おおむねずっと同じ数字をキープできている印象があって。一定数ファンの方がいらっしゃるのかもしれないと感じています。

───番組に対するツイートも御社はかなり多い印象がありますが、番組コミュニティのようなものも出来上がっているのでしょうか。

まだコミュニティ感は感じられていないですが、今年の5月に私がRubyKaigiに参加した際に、「『論より動くもの.fm』のえんじぇるさんですよね」と声をかけられたんです!まだコミュニティと呼べるものはなくても、ファンの方は確実にいらっしゃると感じた体験でした。

オフラインで反応がもらえると、聞いてもらえている実感が湧きます。藤村も、いろいろな方から反応をもらえているみたいです。

編集はゼロから自分で勉強。時間の取れなさに苦労しつつも、更新を待ってくれている方のため頑張りたい

───続いて、ポッドキャストの制作まわりのお話を聞いていければと思います。メインホストは藤村さんですが、企画出しや編集などはどのような制作体制でやられていますか?

基本は私一人でやっています。企画出しもすごく短時間でしていて、藤村と私で録る場合は、社内で藤村が話していたことや、社内のドキュメントに書いてあった内容から、私がピックアップしてテーマとして提示することが多いです。あとは、私の最近の悩みなど、雑談で話したことをそのまま収録で話すこともあります。収録時間はいつも30分とっていますが、まず最初の5分でテーマを決めて、5分後から収録スタートにしています。

社内メンバーをゲストとして呼ぶときは、ゲストのスケジュールを抑える必要もあるので、あらかじめ誰を呼ぶか藤村が決めます。そして藤村がゲストに聞くことを想像したうえで、収録に臨んでいます。ゲストは、収録5分前の時間で大まかな内容を知らされて、すぐに話し始める感じです。

───毎回、御社の雰囲気が自然に伝わってくるトークですよね。制作の中で大変だったことは何かありますか?

最初の頃は編集に慣れなくて大変でしたが、数をこなせばだんだんできるようになってきました。あとは、ポッドキャストそのものを編集するよりも、文字起こしの方が大変でしたね。最初は本当に手作業で、一字一句書き起こしていたのですが、「もう無理です」と言ったら、社内のエンジニアが文字起こしのツールを作ってくれて。自動文字起こしツールの『Whisper』を使っているのですが、きちんと認証システムを入れて、 社内の人しか見られない文字起こしツールとして作ってくださったので、とても楽になりましたね。

───えんじぇるさんご自身は、もともと音声編集などのご経験はあったのでしょうか。

経験は全くなかったんです。でも会社でポッドキャストを立ち上げることになったので、まず失敗しても良いように自分のポッドキャストを始めました。一人で話すのは難しいので夫に協力してもらい、夫とパソコンの前で話して、編集して、アカウントを作ってアップするところまで一通り経験してみました。そうしてポットキャストの運用を一通り学んでから、『論より動くもの.fm』を始めました。

自分でやってみた結果、やればできるということと、録音時間が長いと編集が大変ということが分かりました。『論より動くもの.fm』では、長い時間の収録はやめようと思いましたね(笑)

───ポッドキャストの更新が滞る時期もあるかと思いますが、やはり皆さんお忙しいからという理由が大きいでしょうか。

はい、もうシンプルに忙しいからですね。頻度がバラバラになってしまっている点は、私の反省の一つでもあります。今はもう、定期で藤村の時間を抑えるようにはしたのですが、とはいえ前回の分の確認が終わっていない状態で、新しい収録をしても仕方がないという事情もあり、録ったり録らなかったりになってしまっています。

もちろん、更新が滞っても、「更新されていないですね」と言われるくらいで、特にデメリットはないんです。技術広報全体で見ると、他の施策が動いて発信できていれば良いので、ポッドキャストだけ一生懸命やらなければいけないわけではないです。ただ、「聞いています」と声をかけられた経験があると、「待ってくださっている方がいるかも」という気持ちになるので、更新しなきゃと思いますね。

───えんじぇるさんご自身が、お好きなポッドキャスト番組は何かありますか?

個人的には、『りっちゃ・りょかちのやいやいラジオ』が好きです。

企業発信のものは今はあまり聞いていないですが、『論より動くもの.fm』を始める前には、リサーチとしていろいろな企業さんの番組を聞きました。LayerXさんがやっている『LayerX NOW!』を聞き、CTOの松本さんがホストをやられていることを知ったことで、「藤村がやっても何も問題ないな」と思えた記憶があります。

───最後に、えんじぇるさんの方から、紹介や告知がありましたらお願いいたします。

STORES では、エンジニアの方を絶賛募集しておりますので、ご興味のある方はまず『論より動くもの.fm』を聞いていただいて、もし良さそうだと思ったら気軽に話しかけていただければと思います。Xなどで急に話しかけていただいても全く問題ございません。カジュアル面談などもいつでも受け付けております。

■STORESのエンジニア採用情報
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