「試しにやってみよう」から始まったポッドキャストの活用。D.Nodeが感じた、エンジニア採用における“音声”の可能性

企業のオウンドポッドキャスト制作を手掛けるPitPaは、新しくポッドキャスト番組『オウンドポッドキャストインタビューbyPitPa』をスタートしました。こちらの番組では、企業ポッドキャスト配信者をゲストに招き、様々なポッドキャストの制作裏話を聞くことで、新しくポッドキャストで発信をしたいと思う皆様に有益な情報をお届けしています。また、PitPaブログでも、その内容を一部編集して公開してまいります。

第8回のゲストは、デロイト トーマツ ノード合同会社(以下、D.Node)。同社は2022年から、2週間に1度のペースで、気になったワードやテック関連の話題をコンパクトに届けるポッドキャスト『D.Node Cast』を運営しています。『D.Node Cast』を始めたところ、社内のメンバーのリレーション構築や採用にも効果が出ているそうです。

今回は『D.Node Cast』を運営するエミネンス・採用チームのもえきちさんにポッドキャストを立ち上げた経緯や運営でのこだわりなどをお伺いしました。

対外的な情報発信のためにポッドキャストを立ち上げ

 

──『D.Node Cast』は、どういった経緯で始めることになったのでしょうか?

『D.Node Cast』は2022年4月に運営を開始しました。当時、会社が設立してから半年しか経っていない状況だったこともあり、会社として外部に発信できる情報がほとんどなかったんです。どういった目的で立ち上がった会社なのか、どういった人が中で働いているのか。そういった情報がきちんと伝えられていなかったので、「外部にも情報を発信していこう」ということでポッドキャストを始めることにしました。

D.Nodeはデロイト トーマツ グループの“ITスペシャリスト集団”として立ち上がった企業でもあります。エンジニアやデザイナーの採用を行うという観点からも、彼らがよく聞いているであろうポッドキャストが発信先の媒体として相性がいいなと思いました。

──ポッドキャストを始めるにあたって、運営のノウハウや知見はあったのでしょうか。

私自身、ポッドキャストは好きですし、ラジオ大好きっ子として育ったのですが運営に関するノウハウや知識は全くありませんでした。「まずは試しにやってみよう」「やりながら考えていこう」という思いでポッドキャストを始めています。

エンジニア採用に関する情報発信の手法として、ブログを書く、YouTube動画を作成する、勉強会を開催するといったものがあると思いますが、それらはどれも一定の知識が必要になりますし、コンテンツ制作におけるエンジニアの拘束時間も長くなってしまう。

その点、ポッドキャストは収録時間さえ決めてしまえば、それ以上の時間は拘束せずに済むので、エンジニアからの協力も得やすいのではないか、と思いました。

運営に関しては、社内に勉強会の内容を収録し、ポッドキャストで配信したことのあるメンバーがいたので、その人から話を聞きながら進めていきました。

──実際に1本目を配信してみて、いかがでしたか。

「まずは1本配信してみよう」というところからスタートしたのですが、実はエピソード1の配信の前にエピソード0の回も収録していて。それがボロボロすぎて、全然外部に発信できる内容になってなかったんです(笑)。その失敗も活かすかたちで、エピソード1の収録・配信を行いました。実際にやってみて、想像していたよりも収録・配信の工数がかからず、反応自体も悪くなかったこともあり、続けていくことができています。

ネタはNotionにメモ。企画のタネは日常生活にたくさん落ちている

 

──番組の企画はどのように考えられているのでしょうか?

大きく2つの方向性で企画を考えています。まずひとつは、社長や社内エンジニアやデザイナーにゲストとして出演してもらうというものです。こちらは、どういう話を聞きたいかアイデア出しを行い、それを簡単にまとめてゲストに展開し、収録・配信をします。企画出しから配信まで、基本的には1週間もあればコンテンツになっています。

もうひとつは、自分たちが興味・関心ある事柄について話すというものです。こちらに関しては、2週に1回に企画会議を開催しています。企画のネタになるものは私が日々Twitterを見たり、ブログを読んだりする中で気になったものをNotionにまとめており、それをみんなで見ながら「これ面白そう」「これ気になっている」という形で議論しながら具体的な企画を決めていきます。いくつか企画をピックアップした後、そこからさらに情報を調べ、台本をつくっていきます。大体、企画会議の翌週に収録し、その内容を編集して配信するという流れです。こちらはトータルで2週間くらいかかっています。

──企画のネタ集めの方法が参考になるなと思いました。

外部ライターとして弊社のコンテンツ発信を手伝ってくださる人がいるのですが、その人から「ブログを書くコツ」を教えていただいた際、「どんな話であっても知りたい人がいるかもしれない。日常生活でネタになることは意外とたくさん落ちている。情報に対する感度を上げていくためにメモをとる習慣をつけましょう」と言われていて。その通りだなと思ったんです。そこから、気になったものはメモをとるようにしていきました。

それまでは気になっていなかったけど、人から聞いたら面白い話って意外とあるじゃないですか。「これは面白くないんじゃないか」という先入観は持たずに、自分が気になったものがあれば、とにかくNotionに企画のネタとして溜めるようにしています。

──『D.Node Cast』に対して、これまでにどのような反応がありましたか?

外部の人から直接フィードバックや反応をもらったことはないのですが、配信回数を重ねるごとに社内のメンバーから「このエピソードを聞きましたよ」という反応をもらうことが増えました。また「住み慣れた土地で、パンを焼きながらコードが書ける! 」というタイトルで社内メンバーに関する番組を配信したところ、そのメンバーが社内で「パンの人」と呼ばれるようになり、それがきっかけでコミュニケーションの機会が広がったという声を聞きました。社内の人には少しずつ聞かれるようになっていると感じています。

また、採用候補者に関しては入社前にポッドキャストのエピソードを「全部聞いた」という人もいましたし、ポッドキャストをきっかけに入社を決めた人もいます。

個人的には、ポッドキャストの配信をすることで、新しく入社してきたエンジニアの人に「はじめまして」と挨拶をした際、「声を聞いたことあります」と言われることが多くなりましたね。すでに私のことを知ってくださっている人もいるので、ゲスト出演の交渉もスムーズに進めやすく、そういった面でも良い効果を感じています。

ポッドキャストを運営して得た「3つのメリット」

 

──ポッドキャストを配信してみて、どのようなメリットがありましたか。

社内のメンバーにとって「話す練習になる」ことがメリットとして挙げられます。これまでゲスト出演の打診をした際、「人前で話すのが苦手」という理由で断られることが多くあったんです。ただ、ポッドキャストは音声の編集ができ、多少言い間違えをしたり、話の順番を変えたかったりしても問題ない。「あとから編集できるので自由に話していただいて大丈夫ですよ」と言うと、意外とOKしてもらえるんです。そして収録後、「配信を実際に聞いてみたら意外と話せてました」「言いたかったことがまとまっていた」といった反応をもらえています。編集可能なため「話す練習場所」として良い効果があります。

もうひとつはマイクに対する意識の変化です。ポッドキャストに出演してもらってゲストが自分のエピソードを聞いた際に「思ったよりも音質が悪かった」「マイクの音質が悪い」と気づき、新たにマイクを購入した人もいます。D.Nodeはフルリモートワークの環境なので、基本的にミーティングなどはオンラインです。マイクの音質が悪いと声が聞きづらくなり、ミーティングの阻害因子になってしまいます。そういった観点からもマイクの音質を良くすることは大事なので、仕事をする上での副次的な効果もありました。

あとは社内向けに動画のライブ配信を最近行ったのですが、その際にポッドキャストの運営で培ったノウハウや知見が役立ちました。動画配信なので音声とは別コンテンツなのですが、企画の立て方やゲストへの流れの共有、台本作り、配信が終わったあとのフィードバックのもらい方などはポッドキャスト運営のおかげでスムーズに進められました。

2週間ごとに総視聴数の推移をチェック

 

──実際にポッドキャストを運営してみて苦労した点はありますか?

個人的には苦労した点は結構あります。そもそも人前で話すことがあまり得意ではないので、ゲストとの会話は盛り上がるのか、ゲストに気持ちよく話してもらえるのか、質問の取りこぼしがないかなど、今も不安はあります。

また、最初の頃は収録から1週間ほどのスパンで配信をしていて、当時はコンテンツのストックもなかったのでギリギリで回していて、けっこう大変でしたね。

──そのスケジュール感での収録・配信は大変そうですね。

大変でした(笑)。ただ、最初にきちんとスケジュールを決めておいたのは良かったと思います。事前にある程度スケジュールを決めておかないと「忙しいから」「台本ができていないから」という理由で収録が後回しになってしまいがちです。当時は大変でしたけど、きちんと事前にスケジュールを決めておいたのは良かったポイントです。そのおかげもあってか、今は1週間にコンテンツが2本ほど出せるようになっています。

──ポッドキャストの収録・配信ではどのようなツールを使っていますか。

企画に関しては、すべてNotionに情報を溜めています。収録はZencastr(ゼンキャスター)を使っており、マイクは採用担当の犬井さんは「Shure MVv7」を使っているそうで、私は頻繁に変えています。ゲストは基本的に手持ちのマイクを利用しており、音質にはばらつきがあるので、それをきっかけにマイクを購入しています。

音声の編集は、動画編集ツール「​​DaVinci Resolve」を使っています。動画編集ソフトなのですが無料で使えるので、それで編集を進めています。そして、配信はAnchorを使って配信し、そこからApple PodcastやSpotifyにも配信するようにしています。

──運営にあたって、どのような指標を見ていますか?

指標を意識するようになったのは最近のことです。基本的には2週間ごとに総視聴数を確認しているほか、最近は男女比を見るようにしています。最初の頃はほとんど男性で女性は数%しかいなかったのですが、最近は10%を超えてきている。今はその理由を分析しています。

積極採用中! 気になったワードやテック関連の話題をコンパクトに届けるポッドキャスト『D.Node Cast

 

───最後に、もえきちさんの方から、紹介や告知がありましたらお願いいたします。

D.Nodeでは、引き続きエンジニアやUI/UXデザイナーの採用を積極的に行っています。詳細は概要欄に記載していますので、そちらからご確認ください。また、私たちが運営しているポッドキャストもお時間あるときにぜひご視聴いただけると嬉しいです。

採用情報はこちらから:https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/careers/careers/dnode-recruit.html

音声版はこちらから視聴いただけます。