より赤裸々に、リアルな会社の実態を知ってもらう。LayerXがPodcastに見出した、テキストコンテンツにはないオリジナルの価値


企業のオウンドポッドキャスト制作を手掛けるPitPaは、ポッドキャスト番組『オウンドポッドキャストインタビューbyPitPa』を運営しています。こちらの番組では、企業ポッドキャスト配信者をゲストに招き、様々なポッドキャストの制作裏話を聞くことで、新しくポッドキャストで発信をしたいと思う皆様に有益な情報をお届けしています。また、PitPaブログでも、その内容を一部編集して公開してまいります。

第3回のゲストは、株式会社LayerX。約1年前にスタートしたLayerXの日常を伝えるポッドキャスト『LayerX NOW!』 はチームの話を中心に、CTOの松本勇気さんとHRのmaasaさんが(ほぼ)交代でホストメンバーとなり、LayerXのアレコレを紹介しています。『LayerX NOW!』を始めたところ、外部の人たちが抱くLayerXという会社に対するイメージがより実態に近いものに変わっていくなど、採用面でも良い効果が出ているそうです。

『LayerX NOW!』を立ち上げた経緯や運営でのこだわり、広報・PRの手段はさまざまある中、音声コンテンツだからこそ提供できる価値などをお伺いしました。

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より赤裸々に、リアルなLayerXを知ってもらいたい

──『LayerX NOW!』を始めることにした目的、経緯について教えてください。

『LayerX NOW!』は、CTOの松本がLayerXに入社したタイミングで始まった取り組みです。当時のLayerXは創業時に展開していたブロックチェーン事業からSaaS事業に主力の事業内容をピボットしていくタイミングだったこともあり、LayerXという会社に抱く社会認識を転換していく必要があったんです。

今までブロックチェーン事業を展開してきたこともあってか、外部の人がLayerXに抱くイメージは“ブロックチェーンの技術に特化したエンジニア集団”というものがほとんど。SaaSやFintechというイメージは全く持っていただけていませんでした。そうした背景もあり、社内のメンバー紹介をしたり事業の転換の背景について発信したりしていくことで、LayerXに対するイメージを変えていければと思いました。

また、LayerXはどうしても「技術屋」というイメージが先行してしまい、中で働いている他の職種に携わるメンバーたちは実際どんな感じなのか、イメージが持ちにくい状態でした。だからこそ、もっと赤裸々に社員の声を届けて、「LayerXはこういう会社なんだ」と知ってもらうために『LayerX NOW!』を始めることにしました。

──運営から約1年が経ちましたが、ポッドキャストの目的自体は変わっていませんか?

ポッドキャストを運営する大きな目的は変わっていません。ただ、少し変わった点という意味では今年の3月から私がホストを務めるようになったことで役割分担ができるようになりました。例えば、松本さんがホストの回は事業や新しいプロダクトについて触れるようになっていて、私がホストの回は社員や組織の雰囲気などを伝えるというような感じです。

──会社の広報・PRをしていくにあたってテキストや動画など、音声以外にもさまざまなコンテンツの選択肢があると思います。なぜ、ポッドキャストだったのでしょうか?

これは個人的な意見になりますが、ポッドキャストをやる意味は「温度感」を伝えられることにあると思っています。もちろん当社もnoteや社員ブログなどテキストの情報発信もやっていますが、テキストで得られる情報量と音声を聞くことで得られる情報量には違いがあります。音声の方が人柄も伝わりやすいですし、何よりポッドキャストは登場人物が最低でも2人いるので、そのやり取りから生まれるコミュニケーションによって、よりリアルな「体温」とも言える会社の雰囲気が伝わるのではないかと思っています。

──実際にポッドキャストを聞いている人からも、そういった反応がありましたか。

選考に来てくれた人たちに必ずヒアリングしているわけではないのですが、ポッドキャストを聞いてくれた人から感想をもらうことがあります。その声を聞くと、「エンジニア集団なので論理的でクールな人が多いイメージだったのが、意外と熱量があって楽しそうにやっていることが分かりました」「仕事をどうやって進めていくか、イメージがつきました」という反応もいただけて、すごく嬉しいなと思っています。

──ということは、採用面談に来る人はポッドキャストを聞いている割合が多いんですね。

一定の割合で聞いてくれているな、と感じます。

例えば、今は職種ごとのメンバー紹介コンテンツも作っており、セールスメンバーのインタビュー、プロダクトマネージャーのインタビューもあるので、選考を受けている職種のコンテンツは聞いてもらえる傾向にあるのかなと思います。また、選考プロセス等でこちらから関係のある回を案内するなどの対応も実施しています。

リスナー対象は準社員、具体的な目標は決めずに運営

──ポッドキャストはメンバーに取材の時間を確保してもらったり、収録機材を準備したり一定のコストがかかると思います。メンバーの稼働以外でどのようなコストがかかっていますか?

収録に関してはZencastr(ゼンキャスター)の無料プランを活用しているので、コストはかかっていないです。一方で音声の編集や調整ノイズの削除、タイトルづけのアレンジなどは業務委託のメンバーにお願いしています。

──ポッドキャストを運営していく上で見ている指標は何かありますか?

明確な目標管理やKPI管理はやっていません。エピソードごとの視聴回数は分かるので、どのエピソードの反応が良かったかは見ていますが、どれくらいの視聴回数を目指そうといった目標は掲げていません。会社全体として『LayerX NOW!』自体を盛り上げていきたい気持ちはありますが、数値を決めて管理するようなことはしていないですね。

──広報・PRは具体的な数字は出しにくい部分もありますが、情報発信の重要性は会社全体として感じている中で進められている、ということでしょうか。

採用や広報に関してはさまざまな打ち手があり、ポッドキャストをやったから応募者が5〜10人増えたというように目に見える効果には直結しません。だからこそ、視聴回数を何回目指そう、そのためにこういう企画をやろうといった考えで進めていくと、取り組み自体が面白くなくなってしまう。そうではなく、会社のこんなことを知ってほしい、こういう企画をやったら面白いんじゃないか、という考えで進めることを会社全体で意識しています。

他社がやっていないことをやる、もしくは他社さんがやっていることでもやり尽くすことに価値があると思っています。いろんな手段がある中で、その取り組みを続けていくことが何より大事で、結果的に差別化につながると思っています。

──リスナーに関しては、どのような層をイメージしていますか?

LayerXという会社について、LayerXで働くことについて興味は持っているものの、まだアクションを起こせていない方を、当社では“準社員”と呼んでいるのですが、そういった方たちにより深く、生々しくLayerXを知ってもらうことをイメージしています。

──準社員について、もう少し詳しく教えてください。具体的にどのような人ですか?

例えば、Twitterで代表の福島やメンバーをフォローしたり、カジュアル面談プラットフォームのMeetyを使ってカジュアル面談に来てくれたり、何かしらのかたちでLayerXの情報をキャッチアップしようとしている人たちを、愛情と尊敬の気持ちを持って準社員と呼んでいます。

大事なのは継続すること、LayerXのポッドキャスト制作へのこだわり

──実際に『LayerX NOW!』を聞いてみて、ゲストで登場するメンバーのみなさんが話上手だなと思う一方で、ホストの質問内容やファシリテーション力が高いなと感じたのですが、企画、台本の作り込みはどれくらいやっているのでしょうか?

企画に関しては、ポッドキャストの運用に関するSlackのチャンネルがあり、その中で「そろそろこういうのやりたいね」といった企画案を出すようにしています。

例えば、法人カードの「バクラクビジネスカード」がリリースされたタイミングで法人カードのメンバーを呼び、事業立ち上げの裏側について話すといった感じでリリースのタイミングに合わせて企画を考えるといったことがあります。

一方、私が担当しているメンバー紹介に関しては、採用の優先順位に加えて、まだ情報を発信できていない職種・チームから伝えていくかたちで企画を考えて決めています。

進め方に関しては、企画内容が定まり話を聞くメンバーが決まったら、その人と事前に30分ほどミーティングの時間を設けて、想定するターゲット層やどういったメッセージを伝えたいかなどをディスカッションし、収録日までに簡単な想定質問をつくって渡しておくようにしています。

──新しいメンバーを紹介する際、「この人に聞きたい」という人選はどのように決めていますか?

どういう人に、どんな情報を知ってほしいか、という視点を軸に、メンバーのキャリアや職種から一番マッチしそうな人を選んでいます。例えば、セールスのメンバーであれば、さまざまなSaaS企業がある中でなぜLayerXに決めたのか、LayerXのセールスチームはどういった特色があるのかを語ってもらえそうな人をアサインするようにしています。

──運営していて良かったこと、逆に大変だったことはありますか?

ポッドキャストは分かりやすく目に見える成果がなく、なおかつ数字には直結しにくい取り組みかなと思っています。ポッドキャストをやったから、この指標が良くなったということは分かりません。ただ、ポッドキャストをやっていく中で当初、LayerXが外部から持たれていた「エンジニア集団」「論理的で温度が感じにくい」というイメージは少しずつ変わり、より実態に近いかたちで情報を伝えられるようになってきたかなと思います。

また、意外と社内のメンバーもポッドキャストを聞いてくれているので、「こういう人もいるんだ」という社内メンバーの新しい気づきにもなっている。コンテンツの内容や音声環境などのフィードバックをくれることもあるので、すごくありがたいですね。

ポッドキャストの運営で大変だったというわけではないのですが、継続してやり続けることが大事だと思うので、今後も月2〜3本はコンスタントにコンテンツを出していきたい、という気持ちで運営を続けているところです。そこが一番のポイントになると思います。

──『LayerX NOW!』は文字起こしをされている回もあります。文字起こしは大変な作業だと思うのですが、文字起こしをする目的、また文字起こしをするかどうかの基準はどのように決めているのでしょうか?

文字起こしに関しては、会社として伝えたいメッセージがあるもの、採用優先度の高い職種の社員紹介について話しているものを対象としています。どうしてもテキストで読むのが好きな人も中にはいるので、文字起こしもやるようにしています。

──御社の中で音声コンテンツの制作に対するこだわりは何かありますか?

大事にしているのは続けること、赤裸々に伝えることです。レギュレーションを決めすぎて、「こういうことは言わないでね」となってしまうのは良くない。だからこそ、良いところばかりを見せるというよりは、リアルな会社を知ってもらうことにこだわっています。

良いことを言おうとするとあまり、伝えたい情報が伝わりづらくなる。リアルだからこそ、信じてもらえるし興味を持ってもらえるはずだと思っています。

──今後、『LayerX NOW!』で今後やってみたいことを教えてください。

これはアイデアベースの話になりますが、最近は育休を取得して復帰したメンバーも増えているので、育休を取得したパパ・ママの話を聞く企画をやってみたいと思っています。また、ポッドキャスト以外にもTwitterスペースをやっていて、Twitterスペースで話したカジュアルな内容のものをアーカイブ化し、ポッドキャストに残すこともやってみたいと思っています。

LayerXさんの採用情報はこちらから:https://jobs.layerx.co.jp/

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